2011年11月11日
福岡女学院中学・高校における「と~く・る~む」活動での学生ボランティア体験
「と~く・る~む」活動とは、併設の福岡女学院中学・高校において、中学・高校生への心理支援を目的に、毎週2日昼休みと放課後に定期的に行われているものです。この活動は、中学・高校が主催して、そこに大学院生が臨床心理実習として参加しています。活動は5年以上続けられていて、中学・高校と大学が連携して行なっている事業です。昨年度からは3年生以上の福岡女学院大学の学部生がボランティアとして活動に参加するようになりました。11月に新しいメンバーと交替するに当たり、終了する学生に1年間の活動を振り返ってもらいました。
「と~く・る~む」活動を振り返って
心理学科では、「と~く・る~む」という、福岡女学院の中・高生への心理支援を行っています。この活動は中高の週に2回、お昼休みと放課後に大学院生が中心となって行っていますが、3年生以上の学部生も参加が可能です。心理支援というと1対1で行うカウンセリングのようなイメージを持ちがちですが、この活動では中高生と大学院生・学部生みんなでテーブルを囲んでおしゃべりをすることが多いです。
活動内容は月毎に開催されるイベントに取り組んだり、雑談やカードゲームなどをして毎回皆で楽しんでいます。7月には七夕イベントとして、笹に飾るための短冊に願い事を書いたりしました。そしてただ中高生と接して終わりではなく、ひとつひとつの活動毎に内省し、自分自身の接し方の振り返りや中高生のこころの理解を深めています。
「中高生のこころの理解」と聞くとなんだか難しそうですが、実際は中高生の相談に乗るのではなく、自分たちは中高生に対して「近所のお姉さん」のような感じでお互い気軽に接しています。イベントやゲームなどを通して接しますが、勉強のことや、芸能人や漫画やアニメ、将来のことなど話す内容は様々です。それでも雑談の中で、中高生の考えていることや気がかりに感じていることを時々垣間見ることがあります。中高生は、学校の決まりや周囲の視線を強く意識している中で、「自分はこうしたい、こうありたい」というような葛藤を持っているということを会話の中で改めて感じます。そんな悩みや葛藤のはけ口としてこの「とーくるーむ」が機能しているのではと思う時があります。はけ口だけでなく、親や先生、友人にも言えない自分の世界観や価値観も「近所のお姉さん」であれば気兼ねなく話すことが出来ると思うので、これからもこの活動を続けてほしいと思いました。
そして中高生と接することによって、自分の中高生時代を思い返す機会になったと思います。自分自身を振り返ることによって中高生と同じ目線に立って接することが必要であることと同時に、一方で自分がひとりの大人であることを自覚し、大人として中高生を受容することも大切だと思いました。
学部生は3年生の秋から1年間の活動になりますが、その1年間で中高生との接し方に悩んだり、考えることは私にとってとても貴重なものだったと思います。また新しい3年生が活動に加わり、世代交代となりますが、これからもこの活動を続けて、授業の中でだけでなくリアルな中高生のこころに触れて、様々なことを感じて考えて欲しいと思います。(心理学科4年)
(担当:米川勉)
投稿時間:2011年11月11日 17:37 | 固定リンク
2011年11月10日
グレープカップコンテストの課題文について-なぜ「よだかの星」なのか
2011年度グレープカップ課題文について–なぜ「よだかの星」なのか
福岡女学院大学短期大学部
学部長 上原 敬司
2011年3月11日の東日本大震災で亡くなられた方々に追悼の意を表すとともに、震災および原発事故の影響で不自由な生活を強いられている方々にお見舞い申し上げます。
「頑張ろうフクシマ」「頑張ろう日本」と叫ばれていますが、日本や全世界を震撼させたこの大惨事を私たちはどのようにとらえたらいいのでしょうか。この東日本大震災は私たち人間に繰り返し繰り返し問われている根源的な問いを発しています。人間にとって自然とは?人間も自然のささやかな一部ではないのか?いかに人間は自然とかかわっていけばいいのか?
今回のグレープカップコンテストの課題文『よだかの星』の作者、宮沢賢治は誕生の年と亡くなった年に彼の故郷、岩手で三陸地震津波と三陸沖地震を経験しています。賢治は生涯、自然について考えることを宿命づけられていたのでしょうか。まずは東日本大震災の後、盛んに朗読された『雨にも負けず』の詩をここで思い出してください。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
とはじまります。自然の厳しさに立ち向かう賢治の心意気が感じられます。しかし自然と対等に渡り合うことはできません。
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
厳しい自然の前では人間は何もできないのです。日照りで涙を流したり、冷夏におろおろ歩いたりすることしかできません。賢治は自然を人間の思うままに支配することは傲慢だと考えていたに違いありません。自然の厳しさの前では呆然と立ち尽くすしかないと感じていたのでしょう。自然の厳しさを忘れた現代人は自然に対する畏怖の念も忘れ去っているのです。
『よだかの星』でも賢治の自然に対する畏怖の念が表現されています。厳しい自然の摂理の中で苦悩し、絶望しつつも徹底的に自分を昇華させようとした醜く弱い鳥の話です。「食物連鎖」という自然の摂理を賢治は全身全霊で受け止め、自然の厳しさとその中で生きる生きとし生けるものの宿命を「よだか」に託して美しい詩に昇華しました。よだかは本物の鷹や他の鳥たちから嫌われ死の脅迫をうけながら、自分もほかの小さな生き物を殺していることに気付くのです。他の小さな生き物を食べることは命をつなぐためのぎりぎりの行為であれこの負の連鎖の中に自分がいることに苦悩し、絶望するのです。その絶望の中で自分自身を昇華させていくのです。
今回の課題文『よだかの星』は私たちは自然とどうかかわっていけばいいのかを問いかけています。人間にとって自然とは何であるのかを、立ち止まって思索を巡らせてみてください。
投稿時間:2011年11月10日 16:45 | 固定リンク
2011年11月04日
ヨーロッパ研修の報告(イタリア編)
私たちは9月1日~12日までの12日間、イタリアとドイツに行ってきました!
海外旅行初という子が何人もいた今回の旅では、国内では考えられないような列車の車両が壊れていたり、ストライキがあっていて船に乗ることができなかったりと小さなトラブルはあったものの、全員で協力し楽しい思い出を沢山作ることができました。
イタリア・ドイツに行く前から何度かは授業で顔を合わせていましたが、やはり最初の空港では皆少し緊張していたようです。そんな中、香港での飛行機の待ち時間、旅慣れしている先生が持ってきていたトランプで一気に盛り上がり、和やかな雰囲気になりました。
イタリアは、ローマ・フィレンツェ・ベネチアを訪れました。ローマではトレヴィの泉に行ったり、コロッセオを見たりと多くの歴史的建造物を直に見ることができました。ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂やヴェネチアの水の上に建つ町並みも最高でした!
その中でも特に私の印象に残っている町はフィレンツェです。映画でも有名になったドゥオモを見ました。塔から見たドゥオモの景色は全てが茶色の屋根で景観が統一されていて歴史の深さを感じることができました。フィレンツェはイタリアの中では第三番目の都市と呼ばれ、都会すぎず田舎すぎずという町です。そういった点で福岡と似ている気がし、一番好きだったように思います。
では、次にドイツを紹介します。(井上さん)
投稿時間:2011年11月 4日 00:47 | 固定リンク
2011年11月02日
旅程管理主任者実務研修に参加して
福岡女学院は2011年4月より旅程管理主任者資格の登録研修機関(観光庁登録研修機関 第30号)として認定され,旅程管理主任者研修を開始しました。旅程管理主任者資格を取得するためには添乗実務研修旅行に参加する必要があります。研修旅行では,添乗員が行う業務を一通り体験します。観光地の案内に限らず,空港でのチェックインや荷物の受け取り,ホテルでの食事の手配など細かな仕事をしなければなりません。
8月25日から7日間の日程で,イタリア・イギリスで行われた研修旅行に,2年生に在籍中のE.S.さんが参加しました。E.S.さんの体験談をお届けします。
1週間(7日間)の実務研修を終えて、添乗業務は仕事が多く、大変だと感じました。
事前に打合せはしていましたが、実際には予定通り進まないことが多く、参加者全員の様子を伺いながら、誘導していくことが、一番難しかったです。 他の人が添乗業務を担当していた時は客観的に良い点・注意する点などを見ることができ、英語だけでなく、訪れる国の文化や現地情報を事前にしっかり勉強しておくことも重要だと思いました。
打合せ~出発~帰着~報告~精算までの添乗業務をすべて一人でやり遂げなければならないと考えると、その大変さが想像できますが、卒業後はこの「旅程管理主任者」資格を活かして、ツアコンの仕事に就きたいと考えています。今年から導入された「旅程管理」という科目で、貴重な体験ができ、私にとって新たな方向性を見つけることができました。
投稿時間:2011年11月 2日 14:13 | 固定リンク
2011年10月31日
Open Dayで模擬授業を行いました
10月22日(土)、葡萄際で構内が活気づく中、「こころの成長と働き」というタイトルで模擬授業を行わせていただきました。当日は30~40名くらいの高校生や保護者の方々が来て下さいました。
内容としては、まず「錯視」と呼ばれる現象や「適応機制」についてかみ砕いてお話をし、外界や内面で起こる出来事に対処していくこころの働きについて紹介していきました。そして、こころが成長していくとはどういうことなのか、そのために大切なのはどういうことかを考えていき、こころの成長を支える心理療法というものについても少しですが話をさせていただきました。生きていく中ではいいこともたくさんありますが、嫌なことにも遭遇します。そうして悩んだりする中であっても、ときに逃げたりかわしたりしながらも私たちが放り出して考えることをやめてしまわず、「こころを使う」ことを続けていくことが大切なことをお話させていただきましたが、みなさん大変熱心に聴いていただき、おかげさまでとても有意義な時間を持つことができました。
心理学は生きることと密接に関わりがあり、またとても面白い学問だと思います。一人でも多くの方に心理学に関心を持っていただければ幸いです。
(担当:富永幹人)
投稿時間:2011年11月25日 10:21 | 固定リンク
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