2012年11月アーカイブ

Column5 VOICES OF JOY のゴスペル活動

アメリカの黒人の歴史と音楽文化をゼミのテーマにしているコールです。ゼミでは奴隷制度の歴史、黒人霊歌の歌詞、民話などを取り上げ、自由が極度に制限され、先祖の文化と風土から引き剥がされるという、人間性が脅かされる環境の中で、どのようにしてその人間性をギリギリ保ち、結果的に豊かなコミュニケーション文化を築いていったかを研究します。

また、こうした座学のほかに、4年前からゼミ生が中心となって学内で仲間をつのり、ゴスペル隊を組んで活動を行うようになりました。今年から名称をVOICES OF JOYと改め、お揃いのポロシャツを考案し、福岡女学院の創立記念日やオープンキャンパスなどでライブをしてきました。

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⟨5月の創立記念日ライブ⟩

 

10月には学園祭の野外ステージに立ち、今年のラインアップのベストステージを果たしました。

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⟨10月26日-学園祭ライブ⟩

 

「ゴスペル」とは音楽のジャンルではなく、アカペラ、R&B、ロック、ヒップホップなど様々なスタイルを含んでいます。ただ、ゴスペルにはある特有のスタンスが貫かれています。それは生かされていることへの感謝や、困難なときに必要な力と勇気を信じ求める、神へ向けて歌っていることです。

ゴスペルは、こうしたメッセージ性がポイントなのであって、教会の中だけで歌う崇高な音楽ではありません。むしろ、それぞれの時代のいうなればストリート文化が生み出したリズムやエンターテイメント性を取り入れ、日頃の身近な音楽として親しまれているのです。このようにして「聖」と「俗」の垣根を微妙に行き来していることも、ゴスペルの見逃せない特徴といえます。

だからこそ聖書を知らない人達の心をも動かし、日本でも各地で歌われているようになったのではないかと思います。もともと楽譜がなかった文化、楽譜が読めない人たちのサバイブル音楽だったゴスペルは、歌う人を選びません。

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⟨博多区東住吉公民館にて⟩

 

さて、今年のVOICES OF JOYは11月4日に地域の公民館の文化祭に招かれて、初の学外ステージを果たしました。反応はとてもよく、思いのほかのびのびと歌えることができました。来月もデイ・サービスの施設でクリスマス・ライブをする予定で、新曲の練習に励んでいます。今後はこうした地域活動やチャリティーイベントへの参加を増やし、実践を重ねて行こうと考えてます。(Daniel E. Corl)

Column 4 「福岡と関西」連載第1回 

 

はじめまして。新学科のコミュニケーション分野を担当する二階堂です。僕は、特に言葉の面からコミュニケーションの問題を扱っていくつもりです。今日はその事例として、今までの関係する研究を振り返りながら、お話をしてみたいと思います。といっても、詳しい研究内容を説明してもわかりにくいので、「福岡と関西(特に大阪)」というテーマで、コミュニケーションの問題を考えていきます。具体的には調査のエピソードを連ねて、お話していきます。

 さて、最近はお笑いブームで関西や関西弁に対する人気が高まっています。このことはコミュニケーションの問題にどう関係しているのでしょうか。2000年度から2002年度にかけて、「関西方言とコミュニケーション」の問題を研究するプロジェクトに参加しました。東京・名古屋・関西・広島・福岡の方々にアンケートやインタビュー調査を行いました。その中の1つが、以下の地図を使っての「道教え」調査です。「今、×の地点にあなたがいるとします。たまたま、人に駅までの道を聞かれました。図にある建物などを使って説明してください」というものです。これを、仲のいい友人に説明する場合と見知らぬ人に説明する2つの場合に分けて、各地で聞き取り調査しました。見知らぬ人に説明する場合では、地図を見た途端、「これくらいなら、連れていく」と答えがあった地域が2つだけありました。どこだと思いますか。大阪と福岡でした。その点では、コミュニケーションのあり方が似ているのかもしれません。ただし、大阪には、大阪だけの説明が出てきました。友人に対する説明で、「ええか、公園入ったらあかんで。道、ちゃうからな・・・」。笑いをとろうとする大阪人の気質が表れていると思いませんか。

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 また、この研究では、関西や関西弁に対する各地(東京・名古屋・広島・福岡の4地点)の意識(好感度など)も調査しました。最近はお笑いブームもあって、全国で関西・関西弁に対する好感度は上昇中です。では福岡においてはどうでしょうか。福岡では、高年層(60代以上)の好感度は2割以下で、4地点の中で最低でした。しかし、若年層(10代)の好感度は8割近くとなり、4地点の中で最高でした。福岡の高年層と若年層では、関西・関西弁に対する好感度に極端な差があるのです。そのことが、次の研究で顔をのぞかせました。

そのお話は、また次回に。(二階堂整)

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