教員コラム4 「福岡と関西」1 二階堂整

Column 4 「福岡と関西」連載第1回 

 

はじめまして。新学科のコミュニケーション分野を担当する二階堂です。僕は、特に言葉の面からコミュニケーションの問題を扱っていくつもりです。今日はその事例として、今までの関係する研究を振り返りながら、お話をしてみたいと思います。といっても、詳しい研究内容を説明してもわかりにくいので、「福岡と関西(特に大阪)」というテーマで、コミュニケーションの問題を考えていきます。具体的には調査のエピソードを連ねて、お話していきます。

 さて、最近はお笑いブームで関西や関西弁に対する人気が高まっています。このことはコミュニケーションの問題にどう関係しているのでしょうか。2000年度から2002年度にかけて、「関西方言とコミュニケーション」の問題を研究するプロジェクトに参加しました。東京・名古屋・関西・広島・福岡の方々にアンケートやインタビュー調査を行いました。その中の1つが、以下の地図を使っての「道教え」調査です。「今、×の地点にあなたがいるとします。たまたま、人に駅までの道を聞かれました。図にある建物などを使って説明してください」というものです。これを、仲のいい友人に説明する場合と見知らぬ人に説明する2つの場合に分けて、各地で聞き取り調査しました。見知らぬ人に説明する場合では、地図を見た途端、「これくらいなら、連れていく」と答えがあった地域が2つだけありました。どこだと思いますか。大阪と福岡でした。その点では、コミュニケーションのあり方が似ているのかもしれません。ただし、大阪には、大阪だけの説明が出てきました。友人に対する説明で、「ええか、公園入ったらあかんで。道、ちゃうからな・・・」。笑いをとろうとする大阪人の気質が表れていると思いませんか。

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 また、この研究では、関西や関西弁に対する各地(東京・名古屋・広島・福岡の4地点)の意識(好感度など)も調査しました。最近はお笑いブームもあって、全国で関西・関西弁に対する好感度は上昇中です。では福岡においてはどうでしょうか。福岡では、高年層(60代以上)の好感度は2割以下で、4地点の中で最低でした。しかし、若年層(10代)の好感度は8割近くとなり、4地点の中で最高でした。福岡の高年層と若年層では、関西・関西弁に対する好感度に極端な差があるのです。そのことが、次の研究で顔をのぞかせました。

そのお話は、また次回に。(二階堂整)

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