教員コラム12 美術館訪問(2) 大塚国際美術館 清川直人

美術館訪問記第二弾です。

今回は大塚国際美術館を紹介します。このコラムでは私が訪問した美術館から特色のあるものを取り上げていますが、ここは、美術や美術館とはいったい何なのか、改めて考えさせられる驚きのものです。徳島県鳴門市にあり、福岡からはアクセスがあまりよくありません。それでもここは観る意味があると思います。

 

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この美術館の最大の特色は、世界各地の絵画などの美術品を陶器の板に実物大で印刷して展示しているところです。特に、ミケランジェロの壁画「最後の審判」、「天地創造」を含んだシスティーナ礼拝堂の空間をまるごと再現している部屋など、環境展示と呼ばれている部屋にはとても驚きました。また世界各地の美術館に収蔵されている、同じ主題の作品(の複製)がひとつの部屋に集められていたり、現実にはほとんど実現できない展示もあります。

 

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一般に美術館というのは、本物の美術品を展示している場所のことを指すと思います。では本物の美術品とは何かというと、作家が自ら制作した、唯一のものということになるでしょう。そう考えるとこの美術館には本物の美術品は一つもありません。ここは美術館なのでしょうか?ここでは触れませんが、実はこの問題は美術館制度にも関わる問題なのです。(清川直人)

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