教員コラム1 「身近なメディア」 林田真心子

後期がはじまると、福岡女学院大学のキャンパスは、あっという間に秋の装いにかわります。

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落ち葉が舞い始めた中庭の池。そのほとりにある図書館では、毎月学科ごとに、教員のおすすめの本を紹介しています。

今年の順番が回ってきました。あれやこれやと思い巡らせながら本棚を眺めたり、書店に足を運んだりするのは、なかなか楽しい作業です。

 

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もうひとつ。こういうとき、参考にするのが、小さなメモ帳の束です。これは、いうなれば、私の「ネタ帳」みたいなものです。数年前、母にすすめられて始めたもので、常に持ち歩き、日常の何気ないことを書き記しています。街角や電車の中でふと思いついたこと。誰かのお話の中で心に残った一言。新聞や本を読んだときに、素敵だと感じたフレーズ、言葉遣い。そうしたものを、日々メモしています。

最初は面倒だなと思いながらも、いざつけてみると、自分が過去にみたものや、感じたことを意外と忘れていることにきづきました。そのうち、何かを確かめたいとき、迷ったときなど、折に触れて読み返すようになり、思いのほか役に立っています。

今回も開いてみました。そして、メモ書きを参考にして、おすすめの本を一冊選びました。

 

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ところで、本は私たちの身近なメディアのひとつです。私たちは本から単に情報を得るだけでなく、本を媒介にして、さまざまなコミュニケーションをしています。

私はメモ書きをつけるようになってから、本とのかかわりが少し変わったように感じています。例えば、何気なく選び、そして書き記したフレーズを通して、忘れていた過去の気持ちに気づくことがしばしばあります。どうしてその言葉が心に留まったのか、なぜその本を手にとったのか。日常の何気ないメモの中に、断片的に記された読書の軌跡は、自然と今の私を過去の私へと誘い、往復させてくれるのです。

こうして、私の「ネタ帳」は、今では書くのも読むのも楽しい毎日の「道しるべ」となっています。(林田真心子)

 

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