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2013年01月31日

「百読百鑑」レビュー 『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング by えりな

 

ある日、ハリーポッターという男の赤ちゃんがダーズリー家に引き取られた。そしてその家で雑用させられながらひっそりと暮らしていた。ハリーは自分の両親が交通事故で亡くなったと聞かされていた。しかし実際は、ハリーの両親は魔法使いであり、悪の魔法使いヴォルデモートに殺されたのである。
 
ハリーの身の回りでは多くの不思議な出来事が起こっていたのだが、それはハリーが魔法使いの血を受け継いでいるために生じた出来事だったのだ。ヴォルデモートは、両親と一緒にハリーも殺そうとしたのだが、魔法が跳ね返りヴォルデモートは肉体が滅びてしまう。ハリーはヴォルデモートから唯一生き延び、「生き残った男の子」として魔法界で有名になる。
 
11歳になったハリーは魔法魔術学校に入学する。ハリーはグリフィンドール寮に入り、ロン・ウィーズリやハーマイオニー・グレンジャーと仲を深めていく。
 
そして三人は学校の中に隠された重大な秘密へと迫っていくことになる。秘密について三人はスネイプの不可解な行動から彼が何かを知っているのではないかと疑っていた。だか、ハグリッドに掛け合っても全く相手にもされなかった。しかし三人はハグリッドがつい口にしてしまったニコラス・フラメルが謎の解明につながるのではないかと疑い、彼について調べだす。そしてフラメルはダンブルドアの友人だったことと、錬金術師で賢者の石を作り出した人だったとこと知る。賢者の石こそ学校に隠された重大な秘密であり、スネイプはこの石を狙っていると三人は確信した。ハリーたちはマクゴナガルにその事を知らせようとしたが全く相手にしてもらえない。さらにダンブルドアが緊急で魔法省に呼び出されて不在だった。三人はダンブルドアがいないこの機会を、スネイプが狙っていると確信する。そしてハリーたち三人はスネイプを追って三頭犬の下にある部屋へと入っていく。そうして辿りついた最後の部屋で待っていたのはスネイプではなく、クィレルだった。ヴォルデモートはクィレルの肉体を借りて生き延びていたのだった。クィレルはみぞの鏡を使って石を見つけようとしたが出来なかった。そこで、ヴォルデモートはハリーを鏡の前に立たせた。すると鏡の前には、ポケットの中に賢者の石を持っている自分の姿が映されていた。それを知ったクィレルはハリーから石を奪おうとするが、リリー・ポッターの魔法によりクィレルは焼死してしまう。再び肉体がなくなったヴォルデモートは、逃げてしまった。
 
気絶していたハリーは目を覚ますと保健室にいた。そこでダンブルドアが現れ、こう言った。賢者の石は使おうとする者ではなく見つけようとする者の所に現れる。そして、ダンブルドアとフラメルは話し合って賢者の石を壊してしまった。
 
学年末のパーティで四位と最下位だったグリフィンドール寮だったが、秘密をめぐる一連の事件での活躍により、ロンとハーマイオニーは五十点、ハリーは六十点を獲得する。その結果、一位だったスリザリンと並んだ。そしてここで、ネビル・ロングボトムの勇気ある行動により十点追加され、グリフィンドール寮は見事に優勝した。
 
私はこの話を読み、実際の世界では起こらない事が起こってドキドキしながら続きが気になり、ワクワクして読んだ。また読んでいくうちに先が気になって本を読む時間が楽しくなった。

投稿時間:2013年1月31日 21:42 | 固定リンク

2013年01月28日

「百読百鑑」レビュー 『点と線』松本清張   by 黒まり

 

「点と線」は多くの賞を受賞する作家“松本清張”の推理小説としては処女長編にあたる作品である。社会派推理小説とよばれ、推理小説のブームをまきおこした作品でもある。

 安田辰郎は東京にある料亭「小雪」の常連である。ある日、安田は料亭の女中2人を食事に誘い、その後に東京駅まで見送ってもらった際にある人物を見た。それは料亭で安田の係りをしているお時であった。お時は若い男性と話しながら九州の博多行の特急に乗り込んでいった。その数日後、お時は若い男・佐山憲一と香椎の海岸で死体となって発見された。2人は情死と思われた。だが、博多のベテラン刑事・鳥飼重太郎はこれを事件と考え、1人で捜査をすることにした。一方、佐山は社会をにぎわしている汚職事件の関係者であった。そしてその事件を追っていた本庁の刑事・三原紀一は九州に出向き鳥飼に出会う。2人は安田を殺人の容疑者として追及した。しかし、安田には完璧なアリバイ があった。三原はアリバイを崩すべく自らの足で捜査を始めるのであった。

 この作品で印象的なのは何と言っても“アリバイ崩し”である。アリバイという壁に亀裂が入ったかと思うとまた次の証拠が出てきて振出しに戻るという事の繰り返し。よく計算されている。特に列車の時刻表を使ったトリックはとても面白い。汽車の出入りする駅のホームでの見えるはずのない汽車が4分間だけ見ることができるという所などよく考え込まれている。また舞台が北海道から九州まで広いことが安田のアリバイを崩すのを困難にする要因の一つになっている。事件が起きたのは福岡。安田は北海道に行っていた。これには三原も読者も混乱させられる。そして、三原の視点で進んでいく話では、安田のみ注目しているため読者は安田が犯人にしか見えない。だが、完璧すぎるアリバイの前では安田は白にしか思えない。

公共交通を使ったトリック。崩せないアリバイ。意外な犯人たちの関係。

推理小説好きの人もそうでない人もぜひとも読んでもらいたい作品である。

投稿時間:2013年1月28日 09:01 | 固定リンク

2013年01月26日

「百読百鑑」レビュー 『たけくらべ』 樋口一葉 by たお

 

登場人物は美登利、正太郎、信如、長吉の四人。物語の舞台は吉原周辺という特殊な環境。この特殊な環境のなかで思春期の四人が成長していく姿が描かれている。
 
八月十八日の氏神・千束神社の祭りの日。吉原周辺の 子どもたちが大人たちの真似をしようと、揃いの浴衣に手を通している。「横町組」の大将は、鳶職の親方の息子の長吉。その長吉率いる横町組の敵は、表町に住む金持ちの田中屋の正太郎だ。どうしても正太郎の事が気に入らない長吉は学校で一番頭の良い信如のもとへ。自らを弱いという信如だが、長吉はそれでもいいと信如を仲間にした。
 
長吉たちの横町組には三五郎という皆が認める面白いやつがいた。しかし三五郎にとって長吉たちの敵である田中屋の正太郎は、親子共々恩を受けており、命の綱のような存在であった。
 
そんなある日、正太郎が三五郎を表町に遊びにこいと誘う。それがことの発端となり、長吉は三五郎のことを二股野郎と言い殴りかかり、長吉をはじめ横町組は三五郎を袋叩きにした。その時三五郎と一緒に居た美登利は長吉たち横町組に対して何もできない自分をもどかしく思うと同時に、長吉たちに三五郎を攻めるよう命令したであろう信如に対して幻滅したのであった。
 
その後、信如が姉の店のへ届け物をする時に信如の下駄の鼻緒が美登利のいる大黒屋の前で切れてしまう。美登利は自分の気持ちを信如にぶつけるが、鼻緒が切れて困っている信如を見捨てることが出来ずに布切れを置いてその場を去る。そこに長吉が通りかかり、自分の下駄と信如の下駄を交換してやると言う。長吉は戸惑う信如に対し、自分たちは仲間じゃないかと伝える。
 
月日が経ち、美登利はいっそう美しくなるが、初潮を むかえた美登利は以前のような生意気さが無くなり、吉原の人々は面白い子を駄目にしたと言った。
 
私がこの作品の中で惹かれたところは、乱暴者の長吉が信如のことを本当に「仲間」として考え、困っている仲間に手を差し伸べるのは当たり前のことというのを信如に伝えるところである。前半を読んでいた時は長吉が人を利用していて「仲間」という言葉を上辺だけで使っていると思っていたが、予想外のところで長吉の強い仲間意識をあらわしていて驚いた。また、四人の心情の変化がとても細かく描かれており思春期の少年や少女が成長していく様子を読み取ることができた。

投稿時間:2013年1月26日 15:35 | 固定リンク

2013年01月25日

アメニティに関する資格

 本学で取得可能なアメニティ関連の資格としては、日本生理人類学会が認定するアメニティスペシャリスト(生理人類士2級)とアメニティコーディネーター(生理人類士準1級)があります。この資格は、色彩やデザイン等の関連分野において、人に優しい製品の開発に携わり、真に健康で快適な生活環境の構築に貢献する人材を育成することを目的としています。
 アメニティとは、環境が心理的、生理的に快適で安全であることを言います。この資格は、現代の環境が人間本来の生理機能や心理にどのような影響をあたえているかを検証し、生活のアメニティを豊かにする学問を修めた人に与えられます。

  2012年度の心理学科の合格者は、生理人類士準1級10名、生理人類士2級21名の合計31名でした。                           

(担当:船津)

 

アメニティ関連資格の取得を目指して勉強している学生の感想:

「私と生理人類学との関わり」

  私は生理人類学を学ぶにつれて、日常生活で何気なく取る姿勢や動作は、心身の疲労やストレスに大きく影響していることを知りました。そのため近年では、そのことを視野に入れ、身の回りの製品や空間のデザインのあり方を考慮する必要があると考えるようになりました。
 そしてこの度、家具メーカーへ企業研修に伺い、家具デザインを制作させていただくことになりました。家具とは生活全般に関係し、暮らしに重要な役割を果たしており、家具のあり方は人間のあり方にも影響しているものではないかと考えます。生理人類学で学んだ知識を生かし、人間の身体特性を尊重したデザインを考案することが出来ればと考えております。また環境に良く、素材の良さを生かした、温かみや心地よさを感じられるような家具製品の制作を心がけたいと思っております。そのためにも生理人類学の学問により一層励み、知識を深め、私の周りの方々やたくさんの方々が、幸せに暮らしていけるようなお手伝いが出来るよう精進していきたいです。

(2年生 Yさん) 

投稿時間:2013年1月25日 11:25 | 固定リンク

2013年01月24日

大学院生の自主研修と学生ボランティア:高齢者施設における「回想法」の実践

 回想法は、アメリカの精神科医R.バトラーが提唱した心理療法で、高齢者の心理的アプローチの手法としてよく使用されています。この療法では思い出の品や昔の写真などを題材に語り合い、よき聞き手から傾聴されることで高齢者の心理的安定を図ります。高齢者はこの作業を通して、自分の人生の意味や価値を再認識し、人生を肯定的にとらえて、死に対する準備という老年期の課題に取り組むといわれています。

 このような回想法を「お話会」と称して、私たち大学院生は近隣のグループホーム2か所で、それぞれ月に1回1時間程度実施しています。お話会では毎月テーマを決めて、そのテーマに沿った昔の写真を数枚用意し、高齢者の思い出話に耳を傾けます。その際写真だけでなく、外出する機会の限られている高齢者のために、草花など季節を感じ五感に訴えかけるような素材を使用することもあります。また季節の童謡や昔の歌謡曲の歌詞カードをカラフルな絵や写真を盛り込んで作り、グループで歌っています。なかなかお話にのってこられない認知症の進んだ方も、歌はよく覚えているようで率先してとても楽しそうに歌われるのが印象的です。昔の歌謡曲など私たち学生は知らないものばかりですが、あえて事前に練習していくということはせず、人生の先輩に教えていただくという姿勢で取り組んでいます。

 お話会には学部生にもボランティアで入っていただいていますが、日頃なかなか高齢者と接する機会が少ないためか、月に1回の穏やかで心満たされる時間がとても貴重な体験になっているようです。一度回想法に参加した学生は「すごく楽しかった。お年寄りに元気になってもらおうと思って行ったのに、かえって私たちが元気をもらった。また絶対行きたい」と口を揃えて言います。高齢者の方々も月に1回のお話会を心待ちにしておられ、帰り際には「あなたたちが来ると私たちも20歳若返る。ああ楽しかった。来月もまた来てくださいね。待ってますよ」とおっしゃってくださいます。

 回想法は私たち学生にとって気忙しい学校生活の中でほっとできる癒しの時間です。同時に様々な体験を重ねて今日まで生きてこられた人生の達人に敬意の気持ちを抱き、自分たちも今後困難があっても力強く生きていこうと励まされる時間でもあります。このように高齢者、学生双方にとって和やかな時間と生きる力をもたらしてくれる回想法を、来年、再来年、それ以降も絶やすことなく続けていけたらよいなと思っています。

(修士1年 Tさん)

投稿時間:2013年1月24日 11:42 | 固定リンク

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