教員コラム10 「アーネー」を使いますか? 二階堂整

もうすぐ女学院大学・短大のオープンキャンパスです。

さて、高校生のみなさんは、あいづち、うなずきの意味で「アーネー」を使いますか?この「アーネー」はとっても面白い言葉です。その面白さを少し資料をあげながら、述べてみたいと思います。まず、この「アーネー」は福岡の方言だということです。それも若い人を中心に使用されている方言です。実は方言の中には、年配の方が使わない方言もあるのです。では、以下のURLをご覧ください。

http://kenz.linguistic-atlas.org/chus/21/2107a8.htm

これは群馬女子大学の高橋先生作成の一連の言語地図の1項目です。僕も調査のお手伝いをしてきました。引用を許可して下さった高橋先生に感謝します。2000年に各地の大学生へ調査して、「自分の地元での中学生の頃を思い出して、「アーネー」を使っていたかどうか」を尋ねたものです。白色は自分が使っていた、水色は自分は使わないが、地元で聞いたことがある、紺色は地元で聞いたことがないという回答です。全国の中で、福岡市あたりにだけ集中して白色(自分が使っていた)があることがわかります。この語は北九州から生まれたとの説がありますが、この地図をみる限り、それは考えにくいかと思います。北九州では紺色の「聞いたことがない」の回答が広がっているからです。

この「アーネー」は上の年代には、不評です。あの「アーネー」という独特の抑揚(しり上がりの音調)が、相手に対し、ちゃんとあいづちをしていないような印象を与えてしまうからです。使う側はそんなつもりはないのですが、誤解をまねいてしまうのです。世代におけるコミュニケーションギャップを生みかねないものです。しかし、福岡で最近は、上の世代へも広がりつつあるようです。子供が頻繁につかうので、その親もいつのまにか使うようになっているようです。幼稚園や小学校の保護者の方が使うのを耳にします。このように「アーネー」は皆さんより上の世代へ広がりつつあるようです。

さて、皆さんの中には福岡県以外の九州の方もいらしゃると思います。そうした方も「アーネー」を使うのではないかと思います。現在、「アーネー」は地域的にも拡大を続けているのです。その話はまた次回に。(二階堂整)