2013年3月アーカイブ

 

「ロード・オブ・ザ・リング」はJ・J・R・トールキンの「指輪物語」を原作とする実写映画である。アカデミー賞では13部門にノミネートされ、そのうち撮影賞や作曲賞など4部門で受賞された。また、作品は3部構成となっており、「旅の仲間」はシリーズ一作目となる。

始まりは、世界を支配するためにつくられたひとつの指輪。遠い昔につくられた世界を滅ぼす魔力を持つ指輪は、それを手にした者に強大な力を与える。そして指輪は様々な者の手へと渡っていった。長い月日がたち、指輪はホビットのフロド・バギンズの手に渡った。その指輪を手にしたことでフロドは指輪を狙うサウロンの手下から追われることとなった。魔法使いガンダルフの助言で裂け谷に向かったフロドはあらゆる種族を集めた会議に参加した。そこで、指輪を捨てる以外に世界を救う方法はないという結論がでた。だが指輪を捨てる方法はたった一つ、敵地にある滅びの山の火口に捨てること。その危険な旅にフロドは名乗りを上げた。そして、フロドをはじめとする9人の長く過酷な旅が始まった。

この作品は、3時間弱もある映画です。ですが、ストーリー展開のテンポがよくあっという間に感じます。また舞台である広大な自然が美しく、目を引かれると同時に壮大な背景が旅の過酷さをより引き立てているようです。音楽も作品にあっていて、ホビットの村では和やかで、戦闘時には緊張感のある音楽がより一層作品の中に観ている人を引き込みます。アクションシーンも見せ場で、戦闘はもちろん、敵から逃げるシーンなど一つひとつにハラハラさせられます。特に坑道を抜けるシーンでは、フロドよりもはるかに大きい怪物の戦闘、今にも崩れそうな足場での悪鬼からの逃走を観ていると息をするのを忘れてしまいます。

 

 『チャーリーとチョコレート工場』は、2005年に制作されたアメリカ映画である。ロアルド・ダールの児童文学小説『チョコレート工場の秘密』が原作。

 世界中で大人気のお菓子の工場に招待されることになったチャーリーとその他個性豊かな子ども達が、工場の中で様々な不思議な体験をする。工場の中を案内するのはウィリー・ウォンカという工場長なのだが、ウォンカはかなりの変人だった。顔色が非常に悪く、笑顔もとても不自然である。子ども達がどんどん危険な目にあっていくのだが、ウォンカは一切心配しない。

 この映画の見所は、まず、子ども達の身に降りかかる様々なハプニング。子ども達はそれぞれに大着な一面を持っている。あまりの大着さに、見ているこちらが苛立ちを覚えてしまうことがあるくらいだ。そんな子ども達が痛い目をみて一人ずつ脱落していく様子が面白い。そのハプニングの内容も、予想外な内容であり、面白い。

 次に、主人公チャーリーの心の優しさ。祖父母は寝たきりで、父の給料も少なく、とても貧しい家で育ったチャーリーだが、彼は家族思いでとても心の優しい少年である。誕生日にしか買ってもらえないチョコレートを、家族みんなに分けようとする姿を見るとその心の優しさに胸がうたれる。そんなチャーリーが工場でたくさんのハプニングを乗り越えていく所は、見ていて応援したくなってくる。

 そして、ウォンカの不思議なキャラクターも面白い。彼は大変な変人で、行動や思考回路が読めない為、ストーリーの展開が奇想天外である。もちろんウォンカ役の俳優、ジョニー・デップの演技も見所である。

 この映画は原作の小説と、ラストが異なっているとのことなので、小説と映画を見比べてみるのも面白いかもしれない。

監督       テレンス・ヤング

犯罪組織「スペクター」は、ソビエト情報局の美人女性情報員と暗号解読機「レクター」を餌にし、主人公である英国海外情報局の諜報員007ことジェームズ・ボンドを「辱めて殺す」事で両国に泥を塗り外交関係を悪化させ、その隙に解読機を強奪するという計画を立てていた。スペクターの幹部であるNo.3ことソビエト情報局のクレップ大佐は、真実を知らない部下の情報員タチアナ・ロマノヴァを騙し、暗号解読機を持ってイギリスに亡命する様、そして亡命時にはボンドが手助けすることが条件だという様に命令する。英国海外情報局のトルコ支部長・ケリムからタチアナの亡命の手助けを命じられたボンドは、罠の匂いを感じつつトルコのイスタンブルに赴いた。しかし、そこにはスペクターの刺客・グランドが待っていたのだ。

原作である小説は1957年に出版されており、その当時は冷戦でイギリスとロシアが緊張関係にあり、内容からもその部分が覗える。今回で映画二作目となる作品だが、前作よりさらにアクションを取り入れた大作となっている。冒頭の偽ボンド登場シーンやオリエント急行での対決、ヘリコプターで狙われ危機一髪!など見せ場が次から次へと登場する。歴代ボンドガールの中でも最も人気のあるダニエラ・ビアンキが出演しているので、出演者のキャラクターにもインパクトがあり、60年代の007シリーズの中では、飛びぬけて評価の高い作品だと思われる。さらに、ボンドの危機を救うこととなる支給品の秘密兵器がクライマックスで重要な伏線になること、何よりもオープニング・テーマの前に「プレ・アクション」が入るようになったことなど、この作品以降の007シリーズには必須になるパターンの多くが、本作で形作られた。

60年代という古い作品でソ連との冷戦という時代背景は、私にとっては実感しづらくリアリティのある作品として楽しむのは難しかった。しかし、オープニングの映像で女性の体にクレジットを映すという映像は今の私が見ても古臭くはなく斬新でかっこいい印象を持った。何作か見たことはあるが、毎回出てくるボンドガールの最低条件といえば美人でスタイルがいい、という感じであるが今作のボンドガールは知性とエレガンスを感じさせる風もあり、彼女がまたこの作品の魅力の一つにも思えた。そして、ボンドガールに対してまだこのころのボンドは少し手厳しいようなところもあり、そんなボンドが見られて新鮮で面白かった。エンディングのマット・モンローが歌う主題歌がタチアナの一時の恋とわかっていながら、今この瞬間を大切にしたいという心情と相まって素晴らしいといえるだろう。

もし今の時代にボンドのような人が私のそばにいるとしたら、親戚のおじさんに居たら色んな冒険談を話してくれるおじさまで楽しいかもしれない。彼氏にはちょっと…。

百読百鑑レビュー これは2013年度入学の言語芸術学科の学生さんが、「百読百鑑」リストから作品を選び、その選んだ作品について書いたレビューです。

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