2011年12月09日
英語教師を目指す皆さんへ No.2
期待される英語能力
今回は英語教師に期待される英語力についてお話しします。文部科学省は2003年に「英語が使える日本人育成のための行動計画」をまとめました。このなかで、教師に求められる英語力、指導力、学習者のモチベーション、入学試験のあり方など多岐にわたる改善案を提案しました。そこで示された英語力は、「英検準1級」「TOEIC730点」以上でした。
TOEICのスコアは多くの企業が参考にしていることから、年々大学生の受験者が増えています。TOEICは990点満点の試験で、海外に社員を派遣する多くの企業が730点を1つの目安にしています。一般の人にとって730点は高得点ですが、英語を使って仕事をしようと考える人にとっては、スタートラインといえるでしょう。実際には900点近くの英語力が必要です
ただしTOEICのスコアはあくまでも参考程度に考える必要があります。まず、この試験はビジネスの内容が中心です。企業で働く場合は別として、教師を目指す場合は、内容が偏っています。もう1つ問題点は、TOEICに限らずこうした試験は、基本的に「リスニング」と「リーディング」が中心です。最近TOEICは「スピーキング」「ライティング」試験も始めましたが、こうした能力をテストで測ること自体に限界があります。
それではどの程度の英語力を持てばよいのか?主観的ではありますが、「分かりやすい英語を使って授業ができる英語力」を持つということです。一般能力試験はあくまで参考として使い、試験で測りにくい英語力にも注意を払って勉強することが大切です。ことばは文化や歴史と強いつながりがあります。文化的な背景を理解することが、ことばの理解にもつながります。
次のような勉強をお勧めします。
- 多読:小説、新聞など多くの書物を読む
- 多聴:インターネットを使って英語の音声にふれる
- 話す:英語母語話者に限らず日本人相手に英語を話す
- 書く:日記をつけたり、短いエッセーを書いて表現の仕方になれる
インターネットを使うと、海外のラジオ番組をライブで聞くことができます。また、Podcastsを利用したり、YouTubeでインタビューや講義を視聴することもできます。毎日英語にふれ、文化的な背景知識を身につけることで、英語を深く理解することができます。そうした「深みのある英語力」が後ろ盾になって、「分かりやすい英語」を生徒に教えることができるのです。
客観的なスコアから始まり、最後は主観的な話になりましたが、両者をうまく使って英語力を高めることが重要です。次回はインターネット利用法についてお話しします。