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2013年度 『共に労苦すればその報いは良い』(コヘレトの言葉4:9)
2011年度と12年度は、年間聖句としてガラテヤ信徒への手紙の中から「互いに重荷を担いなさい」という言葉を選びました。東日本大震災の前に選んだ言葉が、結果的にこの大災害を被災者と共に生きていくための励ましとなりました。
学院の年間聖句としては、福岡女学院共同体で共に働く私たちの在り方を指し示す示唆的な表現として理解したいという願いが込められていたのでした。そのために、この手紙の著者であるパウロの問題意識を次のような言葉で表しました。「律法という自分の殻に閉じこもり、他者を裁くばかりで他者の、あるいは共通の困難から目を背けていた人々はなにも積極的な役割を果たしていません」と。共同体の一員として共通の重荷を担っていくのは当然のことですし、それが私たち人間の生きていく基本的な存在の在り方であるともいえるのです。「なんという空しさ、すべては空しい」と詠嘆の言葉で人間世界の様々な空しさと不確かさを表現した「コヘレトの言葉」の編著者でさえ人間存在については、「ひとりよりもふたりが良い。共に労苦すれば、その報いは良い」と言い切っています。
今年の年間聖句には、上記のコヘレトの言葉を選びました。「ひとりよりもふたりが良い」ことは誰もが認めることでしょう。聖書はこの言葉に続いて「倒れれば、一人がその友を助け起こす。倒れても起こしてくれる友のない人は不幸だ」「ひとりが攻められれば、ふたりでこれに対する。三つよりの糸は切れにくい」という言葉を重ねています。これをあえて否定する人はいないでしょう。「互いに重荷を担う」ことができる背後には「ひとりよりもふたりが良い」という知恵があったのでしょう。
現在、日本の教育界を取り巻く環境が厳しいことは誰もが承知していますし、特に地方の女子教育を担っている学校の厳しさは私たちが日常的に体験している通りです。福岡女学院に関わった先達たちが厳しい現実に立ち会いながらその歴史を刻んできたことはよく語られますし、私たちの共通の知識にもなっています。幾多の困難を克服してきたのは、誰か特別なカリスマを持った人だけではありません。その場面に直面した多くの教職員の協力があったからこそ、絶望せず、投げやりにもならず、互いに励ましあいながら希望をもってその歴史を営々と築き続けてきたのだと思います。
学校の活力は、そこで学ぶ園児、生徒、学生たちの生き生きした表情を源にしています。幸いなことに、福岡女学院のキャンパスで出会う園児、生徒、学生たちの表情は明るく、活力にあふれています。そのことに励まされて、私たち教職員も元気に働きたいと願っています。そのために「共に労苦すればその報いは良い」ことを身をもって実践したいものです。「共に労苦する」職場は、希望の光が満ち溢れるでしょうし、そこからさまざまな工夫も生じてくるでしょう。その結果「よい報い」も得ることができると信じています。2013年度は、この聖句に導かれて福岡女学院がさらに前進する年となるように祈っています。